墓じまいは「お墓の引っ越し」と考えるとわかりやすい
墓じまいとは、今あるお墓の墓石を撤去し、墓地の区画を管理者に返還したうえで、遺骨を別の場所に移して供養を続けることです。法律上は「改葬」と呼ばれる手続きにあたります。
「お墓をなくす」と聞くと、ご先祖に申し訳ないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、実際には墓じまいをされた方の多くが、永代供養墓や樹木葬など新しい供養先を選び、お参りを続けています。供養の形が変わるだけであって、ご先祖を大切にする気持ちは何も変わりません。
近年、墓じまいを選ぶ方は増えています。厚生労働省の統計によると、改葬(お墓の引っ越し)の件数は年間15万件を超え、10年前と比べて大幅に増加しました。背景にあるのは、少子高齢化や都市部への人口集中です。実家から離れて暮らす方にとって、遠方にあるお墓を維持し続けることは現実的に難しくなっています。
「お墓の管理をどうするか」は、いずれ多くの方が向き合うことになる問題です。だからこそ、墓じまいという選択肢を知っておくことには意味があります。必要になったとき、慌てずに判断できるよう、費用や手続きの全体像をここで把握しておきましょう。
費用の総額は30〜50万円が相場
墓じまいにかかる費用は、総額で30〜50万円程度です。内訳は大きく「墓石の撤去」「お寺への費用」「行政手続き」の3つに分かれます。
| 費用項目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 墓石撤去・整地 | 10〜30万円 | 1㎡あたり8〜15万円が目安 |
| 閉眼供養のお布施 | 3〜5万円 | お寺に魂抜きを依頼 |
| 離檀料 | 5〜20万円 | 法的義務はなし |
| 改葬許可の手数料 | 数百円 | 自治体の窓口で取得 |
| 合計 | 30〜50万円 | 供養先の費用は別途 |
もっとも大きな割合を占めるのが墓石の撤去費用です。墓地の立地条件や墓石の大きさによって差がありますので、必ず複数の石材店から見積もりを取ることをおすすめします。
費用の詳しい内訳や節約方法は、墓じまいの費用相場のページで解説しています。
手続きの流れは5つのステップで進む
墓じまいは、大まかに以下の5ステップで進みます。全体の期間は2〜3か月が目安です。
親族で話し合う
墓じまいの意向を伝え、費用の分担や新しい供養先について話し合います。ここが一番大切なステップです。
新しい供養先を決める
永代供養墓・樹木葬・納骨堂・散骨など、ご家族に合った供養の形を選びます。
改葬許可を申請する
お墓がある自治体の役所で改葬許可証を取得します。手数料は数百円程度です。
閉眼供養と遺骨の取り出し
お寺に魂抜きの法要を依頼し、墓石から遺骨を取り出します。
墓石を撤去し、区画を返還する
石材店に依頼して墓石を撤去・整地し、墓地の管理者に区画を返還します。
各ステップの詳細や注意点は、墓じまいの手続きの流れのページでまとめています。
補助金・助成金を活用できる自治体が増えている
墓じまいの費用に対して補助金を出す自治体が年々増えています。特に市営墓地や町営墓地では、墓石撤去費用の一部を助成する制度が設けられているケースがあります。
補助金の金額は自治体によって異なりますが、数万円〜十数万円程度の助成を受けられるところもあります。お墓がある自治体の窓口やホームページで「墓じまい 補助金」「改葬 助成」などのキーワードで確認してみてください。
制度の条件や申請方法については、墓じまいの補助金・助成金のページで詳しくご案内しています。
墓じまいに関する記事一覧
墓じまいについて、テーマごとに詳しく解説しています。気になるところからお読みください。
費用相場
総額30〜50万円の内訳と、費用を抑える方法をまとめました。
しないとどうなる
墓じまいをせずに放置した場合に起こりうることを解説します。
手続きの流れ
親族の話し合いから墓石撤去まで、5つのステップで説明します。
補助金・助成金
自治体ごとの助成制度と申請方法をご案内します。
離檀料
離檀料の相場と、お寺との円満な話し合いの進め方を解説します。
代行業者
墓じまいの代行を依頼する場合の費用や選び方を紹介します。
手続き・届出
改葬許可申請など、必要な届出と手続きの進め方を解説します。
お金がない場合
費用が足りないときの対処法や負担を減らす方法を紹介します。
服装
墓じまいの法要や立ち会い時にふさわしい服装を解説します。
後悔しないために
墓じまいで後悔しないためのポイントと注意点をまとめました。
お布施
閉眼供養のお布施の相場や渡し方のマナーを解説します。
墓じまい後の永代供養
墓じまい後に永代供養を選ぶ場合の流れと費用を解説します。
遺骨の行き先
墓じまい後の遺骨の受け入れ先と選び方を紹介します。
トラブル事例
親族・石材店・お寺とのトラブル事例と防ぎ方を解説します。
費用は誰が払う?
墓じまい費用の負担者の決め方と兄弟間の分担を解説します。
檀家制度
檀家制度の仕組みと、檀家をやめる方法・離檀の手順を解説します。
よくある質問
Q. 墓じまいにかかる費用はどれくらい? ▼
墓石撤去・お布施・行政手数料を合わせて、総額30〜50万円が相場です。新しい供養先の費用は別途かかるため、合計では50〜100万円程度になるケースが多いです。
Q. 墓じまいの手続きにはどれくらいの期間がかかる? ▼
一般的には2〜3か月程度です。親族との話し合いや改葬許可の申請、石材店の手配などが必要になるため、余裕を持って進めることをおすすめします。
Q. 墓じまいをしないとどうなる? ▼
お墓の管理費を滞納し続けると、一定期間(5〜10年程度)を経て無縁墓として撤去・合祀される可能性があります。事前に墓地の管理者に確認しておくと安心です。
Q. 墓じまいに補助金は使える? ▼
自治体によっては墓じまいの費用を助成する制度があります。お墓がある自治体の窓口やホームページで確認してみてください。
Q. 親族が墓じまいに反対している場合はどうすればいい? ▼
反対される方の多くは「ご先祖に申し訳ない」という気持ちからです。墓じまいは供養をやめることではなく、新しい形で供養を続けることだと丁寧に伝えることが大切です。
最後に
墓じまいは、ご先祖の供養をやめることではなく、今の暮らしに合った形で供養を続けていくための選択肢です。費用は総額30〜50万円が目安で、補助金制度を利用できるケースもあります。
何から手をつけていいかわからないと感じたら、まずはご家族で「これからお墓をどうするか」を話してみることから始めてみてください。一つずつ進めれば、必ず納得のいく形にたどり着けます。