全体の流れは「相談→決定→手続き→工事→納骨」の5段階

墓じまいは、以下の5つのステップで進みます。期間は全体で2〜6ヶ月が目安です。

一つひとつは難しい作業ではありません。ただ、順番を間違えると二度手間になることがあるため、最初に全体像を把握しておくことが大切です。たとえば、供養先を決める前に改葬許可を申請しようとしても、受入先の情報が必要なため手続きが進みません。

ステップ 1

親族に相談する

期間の目安 ── 2週間〜1ヶ月

ステップ 2

新しい供養先を決める

期間の目安 ── 2週間〜2ヶ月

ステップ 3

改葬許可を申請する

期間の目安 ── 2〜4週間

ステップ 4

閉眼供養と墓石撤去を行う

期間の目安 ── 2〜4週間

ステップ 5

新しい供養先に納骨する

期間の目安 ── 1〜2週間

順番に見ていきます。

最初にやるべきは親族への相談と合意形成

墓じまいで最も大切な最初の一歩は、親族との話し合いです。お墓は家族や親族にとって心情的に大きな意味を持つものですから、承継者の独断で進めてしまうとトラブルの原因になります。

話し合いでは、墓じまいを考えている理由を率直に伝えましょう。「遠方で管理が難しい」「高齢になりお参りに行けない」「後継者がいない」など、具体的な状況を共有すると理解を得やすくなります。

実際に墓じまいを経験された方の多くが、最初は同じように「親族にどう切り出せばいいか」と悩まれています。ただ、お墓の維持が難しくなっている現状を正直にお伝えすれば、反対されるケースは多くありません。

話し合いで決めておくとよいこと

親族との話し合いでは、以下の点をあらかじめ整理しておくとスムーズです。

  • 墓じまいの理由と現状(管理できない具体的な事情)
  • 新しい供養先の候補(永代供養墓、樹木葬、納骨堂など)
  • 費用の目安と、誰がどのくらい負担するか

費用分担は後からもめやすいポイントです。「いくらかかるか」「誰が払うか」を早い段階で話しておくことで、あとから揉める可能性を減らせます。

新しい供養先は改葬許可の前に決める必要がある

改葬許可を申請するには、遺骨の受入先が決まっていなければなりません。そのため、供養先の選定は改葬許可の申請よりも前に行います。

供養先の選択肢は大きく分けて4つあります。永代供養墓、樹木葬、納骨堂、そして海洋散骨です。それぞれ費用も特徴も異なりますので、家族で話し合ったうえで選びましょう。

供養先を選ぶときに確認しておきたいこと

費用だけで選ぶと、あとで後悔することがあります。特に以下の点は事前に確認しておきましょう。

  • お参りに行きやすい場所にあるか
  • 合祀かどうか(合祀後は遺骨を取り出せない)
  • 管理費が発生するか、年間いくらか
  • 遺骨が複数柱ある場合の受入可否と費用

供養先が決まったら、受入証明書(または墓地使用許可証)を発行してもらいます。この書類は改葬許可の申請時に必要になります。

見学は必ず行く

パンフレットやWebサイトだけで決めず、実際に現地を見学することをおすすめします。施設の雰囲気やスタッフの対応、周辺の環境は、行ってみないと分かりません。可能であれば、お参りに来る家族と一緒に訪れるのが理想です。

改葬許可の手続きは「書類を集めて提出する」だけ

改葬許可の手続きは、墓じまいの中で最も「難しそう」に感じる部分かもしれません。しかし、実際にやることは書類を揃えて役所に提出するだけです。早ければ2週間ほどで許可証が発行されます。

改葬許可は「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)第5条に基づく手続きです。遺骨を別の場所に移すには、現在のお墓がある市区町村長の許可が必要と定められています。

必要な書類

自治体によって多少の違いはありますが、基本的に必要な書類は以下の通りです。

書類名 入手先 備考
改葬許可申請書 現在の墓地がある市区町村 窓口またはWebサイトで取得
埋葬証明書(納骨証明書) 現在の墓地管理者 お寺や霊園に依頼
受入証明書 新しい供養先 契約時に発行してもらう
申請者の身分証明書 ── 運転免許証など

書類が揃ったら、現在の墓地がある市区町村の窓口に提出します。手数料は数百円程度です。郵送で受け付けている自治体もありますので、遠方の場合は事前に確認しておくとよいでしょう。

なお、遺骨が複数柱ある場合は、1柱ごとに改葬許可申請が必要な自治体もあります。この点も提出前に確認しておくと安心です。

閉眼供養のあと墓石撤去を行い、墓地を返還する

改葬許可証が手元に届いたら、いよいよお墓の撤去に進みます。まず閉眼供養(魂抜き)を行い、そのあとに石材店が墓石の撤去工事を行います。

閉眼供養は僧侶に依頼する

閉眼供養とは、お墓に宿る魂を抜く儀式のことです。「性根抜き」「お魂抜き」とも呼ばれます。お寺のお墓であれば住職に依頼しますし、公営霊園であれば別途僧侶を手配する必要があります。

お布施の相場は3〜5万円程度です。お寺によって異なりますので、事前に確認しておくと安心です。「お気持ちで」と言われた場合は3万円をお渡しする方が多いです。

墓石撤去は石材店に依頼する

閉眼供養が終わったら、石材店に墓石の撤去と区画の整地を依頼します。費用は1㎡あたり8〜15万円が目安で、一般的な家族墓(1〜2㎡)であれば10〜30万円程度です。

寺院墓地の場合、指定石材店が決まっていることがあります。その場合は指定の石材店に依頼しますが、指定がなければ複数社から見積もりを取ることをおすすめします。

工事自体は1〜2日で終わることがほとんどです。撤去後は更地に戻して墓地管理者に返還します。このとき、墓地の使用権を返還する手続きが必要になる場合がありますので、管理者に確認しておきましょう。

最後に新しい供養先へ納骨して完了

撤去工事の際に取り出した遺骨を、新しい供養先に納骨します。これが墓じまいの最後のステップです。

納骨の際には改葬許可証を供養先に提出します。永代供養墓や樹木葬の場合は開眼供養(魂入れ)を行ってから納骨するのが一般的です。納骨堂の場合は施設の案内に従います。

海洋散骨を選ぶ場合は、粉骨(遺骨を細かく砕くこと)が必要になります。散骨業者に依頼すれば手配してもらえますが、散骨までに数週間かかることもありますので、スケジュールに余裕を持っておきましょう。

納骨が済んだら、親族に報告します。墓じまいを終えた旨と、新しい供養先の場所やお参りの方法を伝えておくと丁寧です。

かかる期間の目安は全体で2〜6ヶ月

墓じまいの期間は、早い方で2ヶ月ほど、じっくり進める方で半年程度です。急いで進める必要はありませんので、家族のペースで無理なく進めてください。

ステップ 内容 期間の目安
1 親族に相談する 2週間〜1ヶ月
2 新しい供養先を決める 2週間〜2ヶ月
3 改葬許可を申請する 2〜4週間
4 閉眼供養と墓石撤去 2〜4週間
5 新しい供養先に納骨 1〜2週間
合計 2〜6ヶ月

期間が長くなりやすいのは、親族との話し合いと供養先の選定です。行政手続きや工事は、動き出してしまえば比較的早く進みます。

お盆やお彼岸の前に完了させたいといった希望がある場合は、3ヶ月前から準備を始めるのがよいでしょう。石材店や供養先の予約が集中する時期を避けると、スムーズに進みます。

墓じまいに関する記事一覧

墓じまいについて、テーマごとに詳しく解説しています。気になるところからお読みください。

費用相場

総額30〜50万円の内訳と、費用を抑える方法をまとめました。

しないとどうなる

墓じまいをせずに放置した場合に起こりうることを解説します。

補助金・助成金

自治体ごとの助成制度と申請方法をご案内します。

離檀料

離檀料の相場と、お寺との円満な話し合いの進め方を解説します。

代行業者

墓じまいの代行を依頼する場合の費用や選び方を紹介します。

手続き・届出

改葬許可申請など、必要な届出と手続きの進め方を解説します。

お金がない場合

費用が足りないときの対処法や負担を減らす方法を紹介します。

服装

墓じまいの法要や立ち会い時にふさわしい服装を解説します。

後悔しないために

墓じまいで後悔しないためのポイントと注意点をまとめました。

お布施

閉眼供養のお布施の相場や渡し方のマナーを解説します。

墓じまい後の永代供養

墓じまい後に永代供養を選ぶ場合の流れと費用を解説します。

遺骨の行き先

墓じまい後の遺骨の受け入れ先と選び方を紹介します。

トラブル事例

親族・石材店・お寺とのトラブル事例と防ぎ方を解説します。

費用は誰が払う?

墓じまい費用の負担者の決め方と兄弟間の分担を解説します。

檀家制度

檀家制度の仕組みと、檀家をやめる方法・離檀の手順を解説します。

よくある質問

Q. 墓じまいの手続きは自分だけでできる?

行政手続きや親族との調整はご自身で進められます。墓石の撤去工事は石材店への依頼が必要ですが、それ以外は専門知識がなくても対応可能です。

Q. 墓じまいにかかる期間はどのくらい?

全体で2〜6ヶ月が目安です。親族との話し合いや供養先の選定に時間がかかるケースが多く、行政手続き自体は2〜4週間で完了します。

Q. 改葬許可証はどこで取得する?

現在お墓がある市区町村の役所で取得します。申請書に必要事項を記入し、墓地管理者と受入先の署名・押印をもらったうえで提出します。

Q. 親族が墓じまいに反対している場合はどうすればいい?

反対の背景にある気持ちを丁寧に聞くことが大切です。費用や管理の現状を具体的に共有し、新しい供養先の情報も合わせて伝えると、理解を得やすくなります。

Q. 墓じまい後の遺骨はどうなる?

永代供養墓・樹木葬・納骨堂・海洋散骨など、ご家族の希望に合った方法で供養を続けられます。供養先は墓じまいの前に決めておく必要があります。

最後に

墓じまいの流れは、親族への相談から納骨まで5つのステップです。全体で2〜6ヶ月を見ておけば、余裕を持って進められます。

一度に全部やろうとせず、まずは親族に相談するところから始めてみてください。一つずつ順番に進めれば、思っていたよりもスムーズに完了できたという方がほとんどです。