費用が払えなくても、墓じまいの道はある
墓じまいには総額30〜50万円程度の費用がかかるのが一般的です。決して安い金額ではなく、「今の家計ではとても出せない」と感じている方もいらっしゃるでしょう。
ご先祖を大切に思うからこそ、お墓のことが気がかりで、でもお金の目処が立たない。そんな板挟みの状態は、精神的にもつらいものです。
ただ、墓じまいの費用は工夫次第で大きく抑えることができます。補助金制度を活用したり、供養先の選び方を見直したりすることで、総額を半分以下にできるケースもあります。ここでは、費用を抑える具体的な方法を5つご紹介します。
費用を抑える5つの方法
石材店の見積もりは必ず複数取る
墓石撤去の費用は、石材店によって差があります。同じ墓地、同じ広さでも、A社は20万円、B社は35万円ということは珍しくありません。
必ず2〜3社から見積もりを取り、内訳を比較してください。現地を見てもらったうえでの見積もりが正確です。指定石材店がある墓地でも、まずは他社の見積もりを取って相場感をつかんでおくことは有効です。
自治体の補助金制度を活用する
墓じまいの費用を助成する自治体が増えています。特に公営墓地(市営・町営)では、墓石撤去費用の一部を補助してくれる制度が設けられているケースがあります。
補助金の有無はお墓がある自治体に問い合わせれば確認できます。「墓じまい 補助金 ○○市」で検索してみるのもよいでしょう。制度を知らないまま全額自己負担してしまう方も多いので、最初に確認しておくことをおすすめします。
供養先は合祀型の永代供養を検討する
新しい供養先の費用は、選び方によって大きく変わります。個別の納骨堂を選べば30〜150万円かかりますが、合祀型の永代供養墓であれば5〜10万円程度で済むことが多いです。
合祀型は他の方のご遺骨と一緒に埋葬される形式のため、一度合祀すると遺骨を取り出すことはできません。ただ、管理費が不要で、お寺や霊園が永続的に供養してくれるため、経済的にも精神的にも負担が軽い選択肢です。ご家族で話し合ったうえで検討してみてください。
散骨という選択肢もある
海洋散骨は、費用面ではもっとも負担が少ない供養方法の一つです。合同散骨であれば2〜5万円程度から利用できます。
散骨に抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、近年は「自然に還る」という考え方に共感して選ぶ方が増えています。遺骨の一部だけを手元に残し、残りを散骨するという方法もあります。
分割払いに対応している業者を探す
一括での支払いが難しい場合、分割払いに対応している石材店や墓じまい専門業者を探す方法もあります。メモリアルローン(葬祭関連のローン)を取り扱う金融機関も存在します。
分割にすると総額は少し高くなりますが、月々の負担を軽くすることで、今すぐ墓じまいに着手できるようになります。見積もりの段階で「分割は可能ですか」と聞いてみてください。
兄弟・親族で費用を分担するという方法
墓じまいの費用は、承継者(名義人)が一人で負担しなければならないものではありません。兄弟や親族で分担するのは、ごく自然なことです。
実際、墓じまいを経験された方の多くが、兄弟で費用を折半したり、それぞれ出せる範囲で出し合ったりしています。大切なのは、早い段階で話し合いの場を設けることです。
話し合いの進め方としては、まず墓じまいの見積もりを取ってから「これだけの費用がかかるが、どう分担するか」と具体的な金額を示して相談するのがスムーズです。金額が分からないまま「お金を出してほしい」と切り出すと、話がまとまりにくくなります。
分担の割合に法律上の決まりはありません。均等に分ける場合もあれば、経済的に余裕のある方が多めに負担する場合もあります。正解は一つではないので、全員が納得できる形を目指してください。
遠方に住んでいて集まるのが難しい場合は、電話やオンラインでの相談でも構いません。大事なのは「事前に相談すること」であって、形式ではありません。事後報告で費用を請求すると、関係がこじれる原因になります。
それでも難しいなら「今はしない」という選択もある
あらゆる方法を検討しても、今の状況では費用を捻出できないこともあります。そのときは、無理に墓じまいを進める必要はありません。
墓じまいには期限がないからです。経済的に余裕ができたタイミング、あるいは兄弟で話がまとまったタイミングで進めればよいのです。焦って借金をしてまで行うものではありません。
ただし、お墓を完全に放置することにはリスクがあります。管理費の滞納が長期間続くと、墓地の管理者から連絡が届き、最終的には無縁墓として撤去・合祀される可能性があります。放置したお墓がどうなるかについては、「墓じまいしないとどうなる」のページで詳しくまとめています。
「今はできないけれど、いずれ対応する」という意思を墓地の管理者やお寺に伝えておくだけでも、すぐに問題が発生することは防げます。管理費だけは滞納しないよう気をつけておくとよいでしょう。
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よくある質問
Q. 墓じまいの費用が本当に払えない場合はどうすればよい? ▼
自治体の補助金制度や、合祀型の永代供養(5〜10万円程度)を選ぶことで費用を大幅に抑えられます。兄弟・親族との分担も現実的な方法です。
Q. 墓じまいの費用を兄弟で分担する割合は? ▼
法律上の決まりはありません。均等に分ける場合もあれば、承継者が多めに負担する場合もあります。早い段階で話し合い、全員が納得できる形にすることが大切です。
Q. 墓じまいの費用にローンや分割払いは使える? ▼
一部の石材店では分割払いに対応しています。また、メモリアルローン(葬祭関連のローン)を取り扱う金融機関もあります。事前に確認してみてください。
Q. 墓じまいをしないとどうなる? ▼
すぐに問題は起きませんが、管理費の滞納が続くと無縁墓として撤去される可能性があります。親族間でトラブルになるケースもあるため、放置はおすすめしません。
Q. 墓じまいに使える補助金はどこで確認できる? ▼
お墓がある自治体の窓口やホームページで確認できます。「墓じまい 補助金 ○○市」で検索すると情報が見つかりやすいです。
最後に
墓じまいの費用が出せないと感じても、方法はあります。複数の見積もり比較、補助金の活用、合祀型永代供養や散骨の検討、親族との分担など、一つずつ確認していけば、負担を大きく減らせる可能性があります。
大切なのは、一人で抱え込まないことです。まずはお墓がある自治体に補助金の有無を確認し、兄弟がいる場合は早めに相談してみてください。焦らず、ご家族にとって無理のない方法を見つけていきましょう。