墓じまい・改葬に必要な書類は5種類

墓じまいをして遺骨を新しい供養先に移す場合、行政上の手続きとして「改葬」の許可が必要です。改葬の手続きに必要な書類は大きく分けて5種類あります。それぞれの書類には入手先と役割が決まっており、取得する順番も重要です。

まずは全体像を表で確認し、そのあと一つずつ詳しく見ていきましょう。

書類名 入手先 費用目安 取得タイミング
受入証明書 新しい供養先の施設 無料(契約時に発行) 最初に取得
埋葬証明書(納骨証明書) 現在の墓地管理者 無料〜数千円 受入証明書と並行可
改葬許可申請書 お墓がある市区町村の役所 無料 受入証明書の取得後
墓地使用許可証 墓地の管理者(契約時に交付済み) 再発行は数百円程度 手元にあるか確認
改葬許可証 お墓がある市区町村の役所 無料〜1,500円 申請書の提出後に発行

このあと、取得する順番に沿って各書類の詳細を説明します。

改葬許可申請書 -- 手続きの中心となる書類

改葬許可申請書は、遺骨を現在のお墓から別の場所に移すための許可を求める書類です。改葬手続きの中心にある書類であり、この申請書を提出しなければ改葬許可証は発行されません。

改葬許可申請書はどこで入手できるか

改葬許可申請書は、現在のお墓がある市区町村の役所で入手します。お住まいの自治体ではなく、お墓の所在地を管轄する自治体の窓口です。多くの自治体ではホームページからPDFをダウンロードすることもできます。

様式は自治体ごとに異なります。A4用紙1枚の簡易なものもあれば、複数ページにわたるものもあります。他の自治体の様式を使い回すことはできないため、必ずお墓の所在地の自治体が発行する様式を使用してください。

改葬許可申請書の記入項目

改葬許可申請書に記入する主な項目は以下のとおりです。

記入項目 記入する内容 わからない場合
故人の氏名・本籍 埋葬されている方の氏名と本籍地 墓地管理者や過去帳で確認
死亡年月日・埋葬年月日 故人が亡くなった日、埋葬された日 「不詳」と記入して可
現在の墓地の情報 墓地名称・所在地・管理者名 墓地使用許可証を参照
移転先の情報 新しい供養先の施設名・所在地・管理者名 受入証明書を参照
申請者の情報 申請者の氏名・住所・故人との続柄 --

自治体によっては、申請書の中に「墓地管理者の証明欄」が設けられており、墓地管理者の署名・押印が求められる場合があります。この場合、埋葬証明書の別途提出が不要になることもあります。

改葬許可申請書の提出方法

申請書の提出方法は、役所の窓口への持参と郵送の2つです。窓口であれば書類の不備をその場で指摘してもらえるため、はじめての方には窓口提出がおすすめです。お墓が遠方にある場合は郵送でも申請できます。郵送の場合は返信用封筒(切手貼付済み)を同封してください。

埋葬証明書(納骨証明書) -- 遺骨の所在を証明する書類

埋葬証明書は、「現在のお墓にこの方の遺骨が埋葬されている」ことを墓地管理者が証明する書類です。自治体によっては「埋蔵証明書」や「納骨証明書」「収蔵証明書」と呼ばれることもありますが、内容は同じです。

埋葬証明書の取得方法

現在のお墓の管理者に依頼して発行してもらいます。寺院墓地であれば住職に、公営墓地であれば管理事務所に、民営霊園であれば運営会社の窓口に連絡してください。

発行にかかる費用は墓地管理者によって異なりますが、無料から数千円程度です。寺院墓地の場合は証明書の発行にお布施を求められることもあります。発行までの日数は数日から1週間程度が目安です。

先述のとおり、自治体によっては改葬許可申請書の中に墓地管理者の証明欄が設けられており、そこに署名・押印をもらえば埋葬証明書の別途提出が不要になる場合もあります。申請書の様式を取り寄せた段階で確認しておくと無駄がありません。

受入証明書 -- 新しい供養先が遺骨を受け入れることの証明

受入証明書は、新しい供養先の施設が「この遺骨を受け入れます」と証明する書類です。「受入許可証」や「永代使用承諾証」など名称が異なることもありますが、役割は同じです。

受入証明書の取得方法

新しい供養先の施設で契約または申込みを済ませると発行してもらえます。納骨堂、樹木葬、永代供養墓など、施設の種類は問いません。見学から契約までの流れの中で「改葬のため受入証明書が必要です」と伝えれば対応してもらえます。

受入証明書は改葬許可申請書を提出する際に添付する書類です。そのため、まず移転先を決めて受入証明書を取得してから改葬の手続きを進めるという順番になります。移転先が決まっていないと改葬の手続きは開始できないということです。

墓地使用許可証 -- お墓の「権利証」にあたる書類

墓地使用許可証は、墓地の区画を使用する権利を証明する書類です。お墓を購入(正確には永代使用権を取得)した際に交付されるもので、いわばお墓の「権利証」にあたります。

墓地使用許可証はどこで取得するか

墓地使用許可証はお墓を取得した際にすでに交付されています。自宅の書類の中に保管されているはずですので、まず手元にあるかどうかを確認してください。仏壇の引き出しや、重要書類のファイルに入っていることが多いです。

紛失してしまった場合は、墓地の管理者に再発行を依頼します。公営墓地であれば自治体の窓口、寺院墓地であれば住職、民営霊園であれば運営会社に連絡してください。再発行には本人確認書類と数百円程度の手数料が必要になることがあります。

墓地使用許可証は改葬の手続きにおいて必ず必要とは限りませんが、墓地管理者との手続き(墓石の撤去や墓地の返還)に必要になる場面が多いため、手元に準備しておくことをおすすめします。

改葬許可証 -- 遺骨を合法的に移すための最終許可

改葬許可証は、改葬許可申請書を市区町村に提出し、審査が通った後に交付される書類です。この許可証があってはじめて、遺骨を合法的に別の場所へ移すことができます。詳しい取得の流れは「改葬許可証とは」のページでまとめています。

改葬許可証は新しい供養先に提出する書類でもあります。納骨の際に施設側に渡すことになるため、取得後は紛失しないよう大切に保管してください。遺骨1柱につき1通必要で、発行手数料は無料から1,500円程度、発行までの期間は1〜2週間が目安です。

書類を取得する順番と手続きの流れ

書類の取得には決まった順番があります。前の段階の書類がなければ次に進めないため、順番を間違えると二度手間になります。以下の流れで進めてください。

順番 やること 取得する書類 期間の目安
1 新しい供養先を決めて契約する 受入証明書 見学から契約まで数日〜数週間
2 現在の墓地管理者に連絡する 埋葬証明書 数日〜1週間
3 役所に改葬許可申請書を取得・記入・提出する 改葬許可申請書 取得は即日、記入に数日
4 役所から改葬許可証を受け取る 改葬許可証 申請から1〜2週間
5 遺骨を取り出し、新しい供養先に納骨する 改葬許可証を供養先に提出 数日〜数週間

ステップ1とステップ2は並行して進められます。新しい供養先の見学・検討と同時に、現在の墓地管理者への連絡を始めておくと、全体の期間を短縮できます。手続き全体の流れについてさらに詳しく知りたい方は「改葬の手続きの流れ」をご覧ください。

よくある書類トラブルと対策

書類の準備を進める中で、つまずきやすいポイントがいくつかあります。事前に知っておけば慌てずに対処できます。

墓地管理者が埋葬証明書の発行を拒否する

まれに、寺院の住職が改葬に反対し、埋葬証明書の発行を拒否するケースがあります。しかし、墓地管理者には埋葬証明書を発行する法的義務があります。話し合いで解決しない場合は、市区町村の担当窓口に相談してください。自治体が間に入って調整してくれるケースもあります。最終的には、改葬許可申請書に「墓地管理者の証明が得られない旨の事情説明」を添えて提出することで、自治体が職権で対応する方法もあります。

故人の情報がわからない

古いお墓の場合、埋葬されている方の正確な死亡年月日や本籍地がわからないことがあります。改葬許可申請書にはこれらの情報を記入する欄がありますが、不明な場合は「不詳」と記入すれば受理されるのが一般的です。墓地管理者が保管している過去帳や埋葬台帳で確認できることもありますので、まず管理者に相談してみてください。

墓地使用許可証を紛失している

墓地使用許可証はお墓の購入時に交付される書類のため、数十年前のものとなるケースが多く、紛失していることも珍しくありません。先述のとおり、墓地の管理者に再発行を依頼すれば対応してもらえます。公営墓地の場合は自治体の担当窓口に問い合わせてください。

遠方の自治体への申請で手間がかかる

お墓が遠方にある場合、書類のやり取りに時間がかかります。郵送申請を利用するのが基本ですが、書類に不備があると往復のたびに日数がかかってしまいます。事前に自治体の窓口へ電話し、必要書類と申請書の記入方法を確認しておくことで、一度のやり取りで済ませることができます。

墓じまいの手続き全体の進め方については「墓じまいの手続きの流れ」のページも参考にしてください。

実務ガイドに関する記事一覧

墓じまい・供養の実務について、テーマごとに詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 改葬許可申請書はどこで手に入る?

現在のお墓がある市区町村の役所窓口で受け取れます。多くの自治体ではホームページからPDFをダウンロードすることも可能です。様式は自治体ごとに異なるため、必ずお墓の所在地の自治体のものを使用してください。

Q. 墓地使用許可証をなくした場合はどうすればいい?

墓地使用許可証を紛失した場合は、墓地の管理者(寺院の住職や霊園の管理事務所)に再発行を依頼してください。公営墓地であれば自治体の担当窓口で再発行の手続きが可能です。再発行には本人確認書類が必要になることがあります。

Q. 埋葬証明書と納骨証明書は別の書類?

呼び方は異なりますが、内容はほぼ同じです。「この墓地に遺骨が埋葬(収蔵)されている」ことを墓地管理者が証明する書類です。自治体によって求められる名称が異なるため、申請先の役所に確認しておくと確実です。

Q. 書類の取得にはそれぞれ費用がかかる?

改葬許可申請書は無料で入手できます。埋葬証明書は墓地管理者によって無料の場合と数百円〜数千円かかる場合があります。受入証明書は新しい供養先で無料発行されるのが一般的です。改葬許可証の発行手数料は無料〜1,500円程度です。

Q. 故人が複数埋葬されている場合、書類は人数分必要?

はい、改葬許可申請書と改葬許可証は遺骨1柱につき1通ずつ必要です。埋葬証明書も1柱ごとに発行してもらいます。受入証明書は施設によって1通でまとめられる場合もあるため、移転先に確認してください。

最後に

墓じまい・改葬の書類は種類が多く感じられますが、一つひとつは難しいものではありません。受入証明書の取得から始めて、順番どおりに進めていけば手続きはスムーズに完了します。

迷ったときは、まず現在のお墓がある市区町村の役所に電話してみてください。改葬の手続きに慣れた担当者が、必要書類や進め方を丁寧に教えてくれます。