永代供養塔は塔の形をした共同の供養施設

永代供養塔とは、寺院や霊園が建てた塔の形の供養碑に、複数の方の遺骨をまとめて納める施設のことです。塔の地下に納骨室があるものや、塔の内部に棚を設けたものなど、構造はいくつかあります。

「永代供養」という名のとおり、遺骨を納めた後の管理と供養は寺院や霊園が引き受けます。後を継ぐ人がいなくても、無縁になる心配がないという点が最大の特徴です。

塔の形式は施設によって異なります。五輪塔、宝篋印塔(ほうきょういんとう)、多宝塔といった伝統的な仏塔をかたどったものが多く、現代的なデザインの供養碑を建てる霊園もあります。

永代供養墓・合祀墓との違い

似た言葉が並ぶため混乱しやすいところです。関係を整理すると次のようになります。

言葉 指す範囲 遺骨の納め方
永代供養墓 寺院・霊園が管理と供養を続ける墓の総称 形式はさまざま
永代供養塔 永代供養墓のうち、塔の形をしたもの 塔の地下や内部にまとめて納める
合祀墓(合葬墓) 複数の遺骨を骨壺から出して一緒に埋葬する形式 他の方の遺骨と混ざる

永代供養塔の多くは合祀の形を取ります。つまり「永代供養塔=塔の形をした合祀墓」というのが実態に近い理解です。ただし、一定期間は骨壺のまま個別に安置し、期間が過ぎてから合祀するという運用の施設もあります。

永代供養の形式全体については永代供養の種類のページで比較しています。

費用相場は5万円〜30万円

永代供養塔の費用は、納め方によって変わります。最初から合祀するか、一定期間は個別に安置するかが分かれ目です。

形式 費用目安 内容
合祀型 5万円〜10万円 最初から骨壺を出して合祀。管理費なし
個別安置つき 20万円〜50万円 13回忌や33回忌まで個別。その後に合祀
銘板の名入れ 3万円〜10万円 別料金の施設が多い
納骨法要のお布施 3万円〜5万円 読経を依頼する場合。費用に含む施設もある

もっとも安いのは合祀型です。5万円前後で受け入れる寺院もあり、他の供養方法と比べて費用を大きく抑えられます。年間管理費がかからないのも、この形式が選ばれる理由です。

費用に何が含まれるかは施設ごとに違います。永代供養料・納骨料・銘板代・法要のお布施が一式になっているところもあれば、別々に請求されるところもあります。見積もりのときに内訳を確かめてください。

永代供養全体の費用感は永代供養の費用相場にまとめています。

費用と管理の負担が軽い一方、遺骨は戻せない

選ばれる理由

永代供養塔が選ばれるのは、次の4点によるところが大きいものです。

  • 費用が5万円からと、墓石を建てる場合の10分の1以下で済む
  • 年間管理費がかからず、後の世代に負担を残さない
  • 後を継ぐ人がいなくても無縁墓にならない
  • 寺院が春秋の彼岸やお盆に合同法要を営むため、供養が途切れない

とくに、跡継ぎの問題を抱えている方にとっては現実的な答えになります。子どもがいない、子どもが遠方にいる、娘が嫁いでいるといった事情で墓を継げないとき、永代供養塔なら先の心配をせずに済みます。

知っておきたい制約

一方で、後から取り消せない性質があります。

合祀された遺骨は取り出せません。他の方の遺骨と混ざるため、物理的に分けられなくなるからです。「やはり家族だけのお墓を建てたい」と気持ちが変わっても、戻す手立てはありません。

個別の墓石もないため、「うちのお墓」という感覚は薄くなります。手を合わせる場所は塔の前の共用スペースで、他の参拝者と時間が重なることもあります。この点を寂しく感じる方は一定数います。

親族の理解も要ります。とくに年長の親族から「先祖代々の墓をなくすのか」という反応が出ることは珍しくありません。決める前に話しておくほうが、後の関係に響きません。

後悔しやすい場面については永代供養で後悔するケースで詳しく扱っています。

契約前に確認したい4つのこと

個別安置の期間と合祀の時期

「一定期間は個別」と書かれていても、その期間は施設ごとに違います。13回忌、17回忌、33回忌、あるいは20年、30年と区切り方もさまざまです。

期間が過ぎたら自動的に合祀されるのか、延長できるのか、延長に費用がかかるのか。この3点を契約前に確認してください。後から「もう合祀されていた」と知るのは、もっとも避けたい事態です。

宗派の条件

宗旨宗派を問わない施設が多い一方、条件を設けているところもあります。「在来仏教に限る」「納骨後は当寺の宗派に従う」「檀家になる必要がある」といった記載がないか、確認しておいてください。

浄土真宗の場合は、永代供養の考え方そのものが他宗派と異なります。浄土真宗の永代供養で違いを整理しています。

法要の内容と頻度

永代供養といっても、実際にどのような供養が行われるかは施設で違います。年1回の合同法要だけのところもあれば、春秋の彼岸とお盆に営むところもあります。

個別の回忌法要を依頼できるか、参列できるかも聞いておくとよいでしょう。「永代」という言葉から手厚い供養を想像していたのに、実際は年1回だけだったという食い違いを防げます。

運営者の状況

「永代」は施設が続く限りという意味です。寺院が廃寺になったり、霊園の運営会社が立ち行かなくなったりすれば、供養は続きません。

寺院墓地なら檀家数や後継者の有無、民営霊園なら運営母体を確かめておくと安心です。公益財団法人や宗教法人が運営しているか、指定管理者制度による公営霊園かといった点も判断材料になります。

墓じまいの受け入れ先としてもよく選ばれる

今あるお墓を整理して遺骨を移す先として、永代供養塔は多く選ばれています。費用が抑えられ、手続きも複雑ではないためです。

複数の遺骨がある場合、まとめて受け入れてもらえるかは施設によります。1体あたりで料金が決まるところ、何体でも定額のところがあり、体数が多いほど差が開きます。5体、6体とあるなら、この点で総額が大きく変わります。

墓じまいの手順は墓じまいの流れ、費用は墓じまいの費用相場にまとめています。受け入れ先を決めたら受入証明書を発行してもらい、改葬許可証の申請に進みます。

地域ごとの永代供養先はエリアページで比較できます。費用や宗派の条件を一覧にしているので、候補を絞る材料にしてください。

永代供養に関する記事一覧

永代供養について、テーマごとに詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 永代供養塔と永代供養墓は違うものですか?

永代供養墓が総称で、永代供養塔はその一形式です。塔の形をした供養碑を建て、その地下や内部に遺骨を納めます。実際にはほぼ同じ意味で使われる場面も多く見られます。

Q. 永代供養塔の費用はいくらですか?

5万円から30万円が目安です。最初から他の方と一緒に納める合祀型なら5万円から10万円、一定期間は個別に安置してから合祀する形式なら20万円から50万円ほどになります。

Q. 永代供養塔に納めた遺骨は取り出せますか?

合祀された後は取り出せません。他の方の遺骨と混ざるためです。個別安置の期間内であれば取り出せる施設もあるため、契約前に確認してください。

Q. 年間管理費はかかりますか?

合祀型は最初の費用に含まれ、追加の管理費はかからないのが一般的です。個別安置型では、安置期間中だけ年間数千円から1万円程度かかる施設もあります。

Q. 宗派が違っても納骨できますか?

宗旨宗派を問わない施設が多くあります。ただし「在来仏教に限る」「納骨後は寺院の宗派に従う」といった条件を設けているところもあるため、事前の確認が必要です。

Q. お墓参りはどこですればよいですか?

塔の前に共用の参拝スペースが設けられています。個別の墓石はありませんが、線香や花を供えて手を合わせられます。

Q. 生前に申し込めますか?

多くの施設で生前申込を受け付けています。後を継ぐ人がいない方が自分で決めておく例が増えており、申込時に費用を納めておけば家族に負担が残りません。

最後に

永代供養塔は、塔の形をした共同の供養施設です。費用は合祀型で5万円から10万円、個別安置つきで20万円から50万円が目安になります。

年間管理費がかからず、後を継ぐ人がいなくても無縁墓にならない点が強みです。一方で、合祀された遺骨は取り出せず、個別の墓石も残りません。

契約前に確かめたいのは、個別安置の期間と合祀の時期、宗派の条件、法要の内容、運営者の状況の4点です。ここを押さえておけば、後から「聞いていた話と違う」となる事態は避けられます。