共同墓地は地域の住民が共同で管理する墓地

共同墓地とは、その地域に住む人たちが共同で所有・管理してきた墓地のことです。「村墓地」「集落墓地」「部落墓地」などとも呼ばれます。

寺院墓地や民営霊園と違い、専任の管理者がいません。自治会や墓地委員会が持ち回りで運営し、草刈りや通路の補修を住民の共同作業でまかなっているのが典型的な姿です。

田畑の脇や山の斜面にある小さな墓地の多くがこれにあたります。都市部で育った方には馴染みが薄いかもしれませんが、地方では今も広く残っています。

共同墓地と共同墓は別物

言葉が似ているため混同されやすいところです。

言葉 指すもの
共同墓地 地域住民が共同管理する墓地。区画ごとに各家のお墓が建つ
共同墓(合葬墓) 複数の方の遺骨を一つの墓にまとめて納める形式

共同墓地は「場所」、共同墓は「墓の形式」を指します。共同墓の仕組みは合祀とはのページで解説しています。

多くは「みなし墓地」として扱われている

共同墓地の多くは、江戸時代や明治時代から続いてきたものです。1948年に墓地埋葬法が施行されるより前から存在していたため、あらためて許可を取ることなく、許可を受けたものとみなされています。これを「みなし墓地」といいます。

みなし墓地であっても、法律上は正規の墓地です。改葬の手続きも通常どおり行えます。

ただし、記録の整備は行き届いていないことがほとんどです。誰がどの区画を使っているかを示す台帳がない、あっても手書きで更新が止まっているといった状態は珍しくありません。この点が、後で述べる墓じまいのつまずきにつながります。

墓地の種類ごとの違い

種類 管理者 年間管理費 使用の条件
共同墓地 自治会・墓地委員会 数千円または共同作業 地区の住民に限ることが多い
寺院墓地 寺院 5,000〜2万円 檀家になることが条件の場合も
公営霊園 自治体 数千円〜1万円 在住・在勤など。抽選のことが多い
民営霊園 宗教法人・公益法人 5,000〜1万5,000円 宗旨宗派を問わないことが多い

金銭の負担でいえば共同墓地がもっとも軽くなります。その代わり、草刈りや清掃といった共同作業への参加が期待されるのが通例です。管理費の考え方はお墓の管理費のページでも扱っています。

墓じまいでつまずくのは埋葬証明書の発行

共同墓地の墓じまいで最大の関門が、埋葬証明書です。

改葬許可を市区町村から受けるには、「今この墓地に遺骨が納められている」ことを墓地の管理者が証明する書類が要ります。寺院墓地なら住職、公営霊園なら管理事務所が発行してくれます。

ところが共同墓地には、そうした窓口がありません。誰に書いてもらえばよいのかが、そもそも分からないという状態に陥ります。

相談する順番

1

市区町村の窓口に聞く

墓地の許可情報を持っているため、管理者として誰が登録されているか調べてもらえます。生活衛生課や環境課が担当窓口です。

2

自治会長・区長に連絡する

実務上の管理責任者であることが多く、証明書に署名してもらえる場合があります。

3

地域の年長者に事情を聞く

記録がなくても、誰の家の墓かを覚えている方がいます。台帳がない場合の有力な手がかりです。

4

代替書類を窓口に相談する

証明書が出せない場合、申立書や墓石の写真で代えられる自治体があります。事情を説明して指示を仰いでください。

市区町村によって扱いが異なるため、最初に窓口へ行くのが結局は近道です。「共同墓地なので管理者が分からない」と伝えれば、その自治体でのやり方を教えてもらえます。

手続き全体の流れは改葬の手続き、必要な書類は必要書類の一覧にまとめています。

土葬の可能性を確認しておく

共同墓地は古くから続いているため、昭和30年代以前に葬られた方が土葬されていることがあります。

その場合、遺骨の掘り出しと再火葬が必要になり、費用が1体あたり5万円から15万円上乗せされます。作業日数も延びるため、事前に把握しておくかどうかで段取りが変わります。

地域への挨拶を省かない

共同墓地は地縁でまとまってきた場所です。手続き上は不要でも、自治会や近隣の方への挨拶は済ませておくほうが円滑に進みます。

撤去工事では重機や車両が地域の道を通ります。事前に一声かけておけば、当日のやり取りも落ち着いたものになります。実家を離れていても、地元との関係は続いていくものです。

管理する人が減り、無縁化が進んでいる

共同墓地が抱えている問題は、担い手の減少です。過疎化と高齢化で共同作業に出られる人が減り、草に覆われたまま放置される墓地が各地で増えています。

管理する住民がいなくなると、墓地そのものが荒れます。倒れた墓石が危険な状態になっていても、直す主体がいないという事態も起きています。

自分の家の墓が共同墓地にあり、後を継ぐ人がいないなら、判断を先送りにしないほうが賢明です。地域に人がいるうちなら、埋葬証明書の相談も、工事の段取りも進めやすくなります。年月が経つほど、記録も記憶も失われていきます。

放置した先に何が起きるかは無縁仏・無縁墓のページで整理しています。移す先の選択肢は墓じまい後の遺骨を参考にしてください。

お墓の基礎知識に関する記事一覧

お墓の種類と管理について、テーマごとにまとめています。

よくある質問

Q. 共同墓地と共同墓は違うものですか?

違います。共同墓地は地域の住民が共同で管理する墓地そのものを指し、区画ごとに各家のお墓が建っています。共同墓は複数の方の遺骨を一つの墓に納める合祀型の墓を指します。

Q. 共同墓地に管理者はいますか?

自治会や墓地委員会が管理していることが多く、寺院や自治体のような専任の管理者がいないのが特徴です。窓口が明確でないため、手続きの相談先を探すのに手間取ることがあります。

Q. 共同墓地でも墓じまいはできますか?

できます。ただし改葬許可申請に必要な埋葬証明書を誰が発行するかが問題になります。自治会長や墓地の管理責任者に相談し、市区町村の窓口にも確認してください。

Q. 共同墓地の管理費はいくらですか?

年間数千円程度、または草刈りなどの共同作業への参加という形が一般的です。金銭の負担は寺院墓地や民営霊園より軽い傾向にあります。

Q. 共同墓地は誰でも使えますか?

多くは地縁により使用者が限られます。その地区の住民であること、自治会に加入していることなどが条件になっている場合が多く、外部の方が新規に区画を得るのは難しいのが実情です。

Q. みなし墓地とは何ですか?

墓地埋葬法が施行された1948年より前から存在し、許可を受けたものとみなされている墓地です。共同墓地の多くがこれにあたります。

最後に

共同墓地は、地域の住民が共同で管理してきた墓地です。管理費の負担は軽い一方、専任の管理者がいないため、墓じまいのときに埋葬証明書の発行先が分からず立ち止まることがあります。

そのときは市区町村の窓口から相談してください。管理者として誰が登録されているかを調べてもらえますし、証明書が出せない場合の代替手段も教えてもらえます。

共同墓地は担い手の減少が進んでいます。地域に人がいて、記録も記憶も残っているうちに動くほうが、手続きははるかに楽になります。